スタッフブログ - 日々のコト
17.窓(ウィンドウ)の配置~富山型窓~
窓は内と外をつないでくれる大切な役割があります。
気持ちのいい日には、心地のよい風を室内に運んでくれて、
太陽の柔らかな光を射しこんでくれます。
また、空気の澄んだ時期には遠くに立山連峰・白馬岳を借景できます。
たくさん窓を取り付ければ快適になるようにも思いますが、窓の配置には注意が必要です。
大切なことは、
①地域性を読むこと(風について)
富山県は富山湾と立山連峰に囲まれて風の方向に特徴があります。
(県内違いがありますが、)
5月から10月にかけては沖から吹く北北東の風(あいの風)が吹きます。この風は室内に取り入れると気持ちがいいです。
逆に、11月から4月にかけては、冬場にとても厳しい南西の風が吹き込みます。なるべく家に寄せたくない風です。
富山の民家(散居村)の屋敷林は、北側に風通しの良い竹藪を配置して、南西に杉などの高木を植えて風雪から家を守っています。影響の少ない東側は玄関が配置(アズマダチ)されています。
②地域を読むこと(日照について)
富山県は空の色が年中どんよりしています。晴天が少ない県です。
しかし、5月から10月にかけては東京よりも日射の取得量は多くてさらに湿気もたっぷりです。
逆に、11月から4月は極端に日射が少なく、期待ができません。
夏は日射をシャットアウトする工夫、冬は外に熱を逃がさない工夫が必要になってきます。
③環境の変化も考える
近年の環境変化は、昔ながらの家づくり技法では対応できなくなってきています。
窓を開けることに関しても、
1月・2月・3月は寒い
4月・5月は花粉の猛威
6月・7月は梅雨のジメジメ
8月・9月は猛暑でエアコンが頼り
10月はいい風が入ってきます
11月・12月はまた寒い
なかなか気持ちのいい風を取り込めなくなってきてます。
富山県は、建物にとっても過酷な環境です。
これからは外の環境から守る窓という意味合いが強くなります。
しかし、冬場は日射量が少ない分、貴重な太陽の光を大切に取り入れ、
夏場は、軒を出すなどの工夫をして開放的な夏を体感できる工夫をしたいものです。
窓の配置・大きさは、住む人の感性や敷地の環境を考えて計画が必要になります。
三谷賢治
散居村や昔の民家では
2022.08.12 日々のコト
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